移住者の声 空き家バンクで家を買う!!

尾鷲の空き家バンクで家を買うまでと買った後の話

はじめに

私が地域おこし協力隊(2023年6月時点)戸田が『尾鷲市空き家バンク』制度を利用して家を買った話をご紹介したいと思います。
なぜ記事に取り上げたかというと、空き家バンクに相談される方によく聞かれること。
それは移住者だけでなく、家を所有している大家さんにも聞かれることがあるのでここに記事したいと思います。
なるべく時系列でまとめたいと思います。

初!!尾鷲来訪(2021年年末)

私たち夫婦はアウトドアが好きな夫婦で、ここ数年は釣りにハマっていました。
週末は当時住んでいた愛知県内を中心に福井県、三重県伊勢方面などまで足を延ばして釣り興じていました。
福井県の、とあるお宿がとても気に入り、その周辺ロケーションがこれまた素晴らしいエリアでした。
時は2021年の年の瀬、年末年始にどこか旅行に行く計画をしました。
前述した福井県は雪が怖いということもあり、同じように宿に泊まって釣りができるところを妻が物色しておりました。
そんな中、冬場でも暖かそうな尾鷲をチョイス!31日~2日までの2泊3日で尾鷲に決定しました。
(尾鷲は、YouTubeで南伊勢で釣りをしている方が、風が強くて尾鷲に避難ということを目にしていて知っておりました。)
2021年12月31日、まだ暗いうちに名古屋を出発し、日が昇るころ尾鷲市内の天満浦に到着しました。
なんと到着した日は薄っすらと雪が積もり、尾鷲でも珍しい雪景色でした(笑)

満喫!尾鷲!(2021年12月31日~2022年1月1日)

初日は釣りをしながら、いくつかの港を巡りました。天満浦、大曽根、古江など巡った後に宿泊する梶賀町につきました。
宿前で飽きずに釣りしたり(笑)、宿泊した勝三屋さんでは、手作りの家庭的な料理を頂きました。
ここで初めてカマスのお刺身も食べ、美味しかった記憶があります。
年が明けた1日は行野浦の辨財天(べんざいてん)へ。
印象に残る釣果はありませんでしたが、一日海の景色を堪能していました。

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行野浦の辨財天での釣り

運命的な出会いとなった集落へ(2022年1月2日)

2日は釣り場を検索してみたところ、三木浦漁港があるので、宿を朝早く出て向かいました。
梶賀のトンネルに向かって坂を登っていたところ、朝日が美しく輝き、海面もキラキラと輝いていました。
思わず立ち止まってしまいました。この時、『あぁ、いいところだなぁ』と少し移住を意識するような景色でした。

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梶賀からの朝日

 

三木浦に向かって行き、坂を下りると堤防には結構な人がいましたが、釣り座がないなと思ったので、漁港内の作業用突起に人がいなかったため、そこで釣りをすることにしました。
2日はとても穏やかで、風もなく暖かな日でした。
海の雰囲気も内湾ならではの穏やかさで、自分たちが知る海の景色とは異なるなと感じていました。

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この透明度にびっくり

 

釣りをしていると地元の方が人懐っこく話しかけてきたことを思い出しました。
本当にのんびりと過ごしてしまいましたが、釣果もまずまずでした。

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まったりと栃木の豆餅ランチ

 

帰るのが惜しくて、後ろ髪を引かれる思いでした。
またすぐ訪れるのですが……。

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こんな時間まで(笑)

空き家バンクで物件をみて内覧を予約する(2022年1月13日)

以前、愛知県内で釣りをしていたときに、ある方が週末を過ごしている話を聞いていました。
私たちもそれに憧れはありましたが、もし不動産を持つのであれば、将来的には永住する家になるところを考えていました。
そういった住宅はやはり住むには適していなくて、半ば諦めていました。
そんな背景があったせいか、尾鷲の空き家についてどうなのか気になっていました。
インターネットで検索して、ええとこやんか三重のページ経由で尾鷲市の空き家バンクにたどり着きました。
夫婦で気に入った2つの物件を見に行くことになり、早速内覧を予約しました。

内覧する!!(2022年1月15日)

2週間後に再び尾鷲に行きました。おわせ暮らしサポートセンターにて、簡単にヒアリングをしました。
当時、対応してくれたのは先輩の地域おこし協力隊の方でした。
尾鷲の漁村の特色などを話していただき、とても興味深かったです。
内覧は九鬼と三木浦の物件をそれぞれ見ました。
九鬼に向かうため、尾鷲の街中を車で進みます。
道が狭いなと感じながら、先導してくれているサポートセンターの車を追います。
車で山道を進んで約20分ほどで、一気に広がる景色の中に九鬼港が現れました。
進んでいくと堤防がなくて不思議な感覚になりました。
九鬼ではコンパクトな作りの家を見学しました。
ここは可もなく不可もなくといった感じでした。
値ごろ感もあり、悪くない印象でした。
続いて、三木浦の物件です。
1月2日に訪れた、とても魅力的な集落です。
車道から入って路地に少し階段を上がると、目に飛び込んできたのは石垣と階段でした。
妻はこの雰囲気が気に入ったようです。
石段を上がると小さな庭があり、金木犀が青々と茂っていました。
庭も放置されているわけではなく、きちんと手入れされていたので、とても好印象でした。
玄関に入ると、少し青みのかかった漆喰に〇型の飾りが目を引きました。

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YouTubeのサムネより

 

家は2人には少し大きく、部屋数もあり、約10年前にリフォームされ、オール電化になっていました。
しかし、この古民家風の雰囲気がある家がなぜ売れていないのか不思議に思いました。
私たちは即座に交渉に入りたいと申し入れました。
その後、そこで釣りを楽しみ、尾鷲市街で宿泊しました。
余談ですが、次の日の朝、実は夜中に海外の海底火山の噴火による津波の騒ぎがあり、苦笑いしてしまいました。

大家さんに電話する(2022年1月19日)

おわせ暮らしサポートセンターから交渉に入るための書類が届き、大家さんにお電話しました。
最初の電話では繋がらず、ショートメッセージを残すことにしました。
大家さんは女性の方で、とても明朗快活な方だと感じました。
お話をして、物件で話し合いしましょうということで日程を調整しました。
実は、この調整には少し手こずりました。
やはりコロナの影響でした。
しかし、大家さんもご主人と相談し、会ってくれることになりました。
少し焦りましたね。

大家さんと初めて対面する前に司法書士さんと話す(2022年1月25日)

大家さんとの対面の日程が決まり、すぐに契約をする必要はないけれども、どのような手続きを進めればいいのか、色々と調べ始めました。
売買契約書の用意方法や、司法書士の選定についてもわからないことがたくさんありました。
おわせ暮らしサポートセンターに相談すると、売買契約書を含めて司法書士に相談することをアドバイスしていただきました。
その後、紹介してもらった司法書士さんにすぐに電話で連絡をし、アドバイスを受けました。
・残っている家財についてどうするか
・隣と共有している箇所がある場合、敷地の境界を確認しておくこと
・建物に瑕疵がないか確認しておくこと(例:雨漏りや大きな欠陥など)
・固定資産税の負担について
売買契約書については、用意してくれることとなりました。
ちょっと気が楽になりました。

大家さんと対面する。(2022年1月30日)

物件で待ち合わせをし、ちょっとしたお菓子を持参して向かいました。
物件の階段を上がっていくと、既に大家さんが到着しており、雨戸などを開けていました。
大家さんのご主人と一緒に物件を見て回りました。
大家さんと話すと、詳細な情報や前の住人の使い方などが伝わってきます。
内覧時には気づかなかったのですが、この時初めて和室の二階から海が見えることに気づきました。
海が見えるというのは特にこだわりはなかったのですが、嬉しい誤算でした。
過去に雨漏りがあった箇所や境界のこと、残っている家財の使用有無などを確認しました。
確認が終わり、お茶を飲みながら雑談と価格の相談をしました。
価格については、空き家バンクに掲載されている価格で問題がなかったので、そのまま進めることにしました。
また、事前の情報では名義変更に時間がかかるかもしれないと考えていましたが、既に変更が完了していました。
売買契約書については、司法書士さんに作成してもらうことを伝えたところ了解をいただきました。
大家さんもご自身の司法書士さんに相談していたようです。
相手方も名義変更が必要だから、買い手側で司法書士さんを手配してくださいと言ってくれました。
そこで、尾鷲市内の司法書士の名前を伝え、大家さんの情報を開示することに了解を得ました。
その後、三木浦の織屋さんでランチし、結局釣りを楽しんでいました(笑)

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織屋さんでランチプレート

司法書士さんと対面する(2022年2月11日)

大家さんとの対面後、メールで司法書士さんとやり取りをしました。
我々と先方の情報を共有しながら、司法書士さんからは本人確認のため、運転免許証のコピーと住民票の提出を依頼されました。
対面前にはPDFで送付し、住民票の原本は対面時に持参することにしました。
11日から12日まで尾鷲に滞在し、年末年始に泊まった梶賀町の勝三屋さんにお世話になりました。
その後、司法書士の事務所にお伺いしました。先生は物腰の柔らかな方でした。
ほぼメールでのやり取り済みだった為、あまり長くかかりませんでした。売買契約書や手続きについての説明を受けました。
はっきりとはわかりませんが、この日までに司法書士さんも大家さんと連絡を取り合っていたようです。
空き家バンクを運営する上での話ですが、名義変更には双方の本人確認が必要と聞きました。
面談して話し合うことは、スムーズに進めるための必要条件だと思います。
面談の翌日は初めて熊野方面に足を延ばし、鬼ヶ城に初めて行ってきました。

契約をする前に色々と準備

契約日は3月11日と決定しました。たしか尾鷲に遊びに来ているときに電話連絡を受け、日程を決めた記憶があります。
契約する場所は、司法書士先生の事務所にしました。
支払いが現金でお願いしたいということでしたので、どうしたものかと思いましたが司法書士の先生から現金の確認に手間時間がかかり大変なので、現金で渡してその場で入金してもらい通帳を確認してもらうと楽とアドバイスを受けました。
我々も現金持ち歩くのが嫌なので、ゆうちょ銀行にお金を入れて準備したりしました。
また事前に電気契約の切り替えや、水道の切り替えを確認していました。

ついに契約!!(2022年3月11日)

ついに契約の日を迎えました。平日でしたので、時間調整しながら尾鷲へ。
先に郵便局に立ち寄り現金をおろします。実は事前に郵便局にそれなりの金額おろすけど大丈夫か確認していました。
司法書士さんの事務所に行き、大家さんご夫妻と合流する。
我々はいつものラフな格好に対して、ちょっと整った服装できたのでちょっと恥ずかしいような(笑)
司法書士さん含め、契約開始。
契約書の説明などしていただきます。
それぞれ書類に押印していききます。
物件の鍵を受け取ります。数が多かったので受け取り写真を撮りましたね。

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鍵がいっぱい

 

支払いのため尾鷲市内の郵便局に移動して大家さんに手渡し、入金してもらいます。
記帳された金額を確認し、受領書を頂きました。
大家さんと郵便局前でお互い感謝しあい、また引越し後に頼りになる親族紹介するからと心強い言葉を頂きました。
私たちも是非、遊びに来てくださいと声をかけました。
大家さんと別れ、市役所へ。水道の手続きをと思ったら、水道局は市役所内に無く、少し離れた場所へ。
手続き終了後、物件へ。その日から二泊滞在しようと、寝袋とか持参で来ておりました。
物件に行くと、あゝ自分の家になったんだなと感慨深かったですね。
窓を全部、開け放ち空気を入れ替えます。
滞在できるよう色々と準備します。
水道開栓したり、掃除をしたり、エコキュートを復旧させたりしていました。(翌日にはお風呂入れた。)
幸いにもオール電化でしたのでガス用品は不要だったのですぐ調理などできました。
家のメンテナンスばかりだと、メンタル的に参ってしまうので釣りにも(笑)
契約した日に泊まれる状態の本当に綺麗な家であったので大変良かったです。
とはいえ、大きな蜘蛛とかいるので苦手な方は、きついかも知れませんね。
大家さんも我々が購入すると決まった後にも、掃除をしてくれたようで本当にいい大家さん、いい家に出逢いました。

契約後、近隣の皆様にご挨拶

契約後、集落の区長さんにおわせ暮らしサポートセンターにて紹介していただきご挨拶。
また当面、2拠点になるので近隣の方にちょっとしたお菓子をもってご挨拶。
そこにはメモで当面、週末だけ滞在することと、家族の名前、電話番号を記載しました。
同じようにポストにも、同内容を記載した張り紙をしておきました。
夏ぐらいに越してくることを話すと、こんなところよく来たねなど笑顔で迎えてくれます。
挨拶したなかで、比較的家から近い方に色々と教わり大変助かりました。
※定期借家制度導入前であったのですぐ購入となりました。現在は物件購入の場合は定期借家期間を経てからの購入となります。

購入、購入後にかかった費用は?

物件の購入以外にかかった費用ですが、対応してくれた司法書士さんへの支払い。
こちらがおおよそ8万円ほどでした。これは司法書士様の報酬と登録免許税が含まれています。
なので物件によって登録免許税が変わりますので、この金額を鵜呑みにしないでください。
ほかに住民票取得など雑費はかかっております。
またことあるたびに尾鷲に足を運んでいたので、労力+交通費がかかっておりますね。
購入後は、急いで火災保険に入りました。7,000円/月ぐらいのものです。
引越した後は町内会(月1,000円程度)に入ったり、駐車場(月2,000円程度)を借りたりと少し出費がありました。
尾鷲は特に漁村部だと駐車場が敷地にない場合が多いです。
よって港を管理している漁業組合にお借りしました。これも近所の方にアドバイスを受け助かりました。
町内会については、基本入った方が良いと感じています。
郷に入っては郷に従えではないですがやはり地域の方と摩擦なく交流していくには最低限、必要だと感じています。
それは2拠点の方も出来れは町内会に入って、清掃などの奉仕活動などに顔をだし地域の方と触れ合うだけで、地域の方からの目も変わっていくと思います。

家の修繕について

家の修繕ですが、契約したその日から泊まれるぐらいの物件であったため、致命的なものはありませんでした。
ただやはり100年近い古民家(登記上は65年以上)です。過去に白アリにやられて処置をした形跡などもありましたね。
(防蟻に関しては自分でも薬剤を撒いたりしましたが、約10万円かけて薬剤を散布してもらいました。)
当初は週末だけ、尾鷲滞在をしていました。
とある金曜日の夜に名古屋を出て、尾鷲の自宅についたところ、なんか水の音がしている……。
屋外水栓の水漏れでした。その日は元栓を閉めて、翌朝に水道屋さんを探す。
結局、サポートセンターの方を頼って業者さんを紹介してもらいすぐ修理(6,000円)して頂きました。

やはり水回りですが、洗濯機を置くところの水栓が洗濯機を設置した際に水が漏ることが発覚し、自分で修繕したりしました。
他、風呂場、トイレのコーキングをなおしたり細かいことはありましたが前記したように致命的な修繕はありませんでした。
それは空き家バンクに登録されている物件の中では高価であったことと、大家さんが大切に住み、都度都度メンテナンスしていた結果かと思います。
私たちも大切にしていきたいと思います。
住んでからは…
久しくメンテナンスされてなかったであろう浄化槽点検。こちらに2万円ほど
尾鷲の漁村部物件では珍しく庭があるので、庭師さんにお願いして3万円ほど
そしてビックリの配電盤からの焦げ事件(苦笑)
購入してから1年を過ぎましたが、なんか配電盤から焦げ臭い匂いが…。
カバーを外してみたところ、スパークしてる!!
これはまずいと言うことで電源を落として、いつもお願いしている業者さんに電話。
すぐに来てくれて対処してくれました。
早く気付いたので、端子と電線部分だけが少し焦げている程度で済みました。(約5,000円ほど)
端子が緩んでいたようで、一緒に家の絶縁なども確認してもらいました。
電気関係は必ず見てもらった方がいいと思います。やっぱり古い家は電気関係が怖いです。
照明を増設などお願いした時に、床下に合ったコンセントを撤去してもらいました。
ちょっと怖かったので、みなさんも気を付けましょう。
今後はやはり給湯器であるエコキュートやIHクッキングヒーターなどは10年超過しているものなので、どこかで入替が必要で一番、お金がかかってくるかなと感じています。
あとエアコンも土地柄もあり、傷んでくるのは早いのではと考えています。

最後に

買うまでの2か月少し。かなり早かったと思います。
前述もしましたが現在、尾鷲市の空き家バンクは定期借家制度が取り入れられていますので、定期借家期間が終わらないと購入できません。
私もいま色々な方と内覧の対応をしておりますが、買う・借りると決めた方はやはり即決で交渉を申し込んできます。
私たちも、内覧したその日に交渉に入る申し入れをしました。
逆に言うと、悩むのであれば辞めるべきかも知れません。
それは安い空き家だとしても、コストだけでなく自身の労力であったり、近隣とのコミュニケーションであったりと、いろいろな事柄が発生します。それを乗り越えられる覚悟が必要かと思います。
またここまでスムーズにいったの当時のおわせ暮らしサポートセンターの対応とその紹介してくれた司法書士さんが慣れていた部分。
そして大家さんの努力(名義変更であったり、片付け・掃除であったりと)、人柄もあったと思います。
もしこの記事を読んでいただき空き家バンクを利用しようとしている方がおりましたら、誠意をもって話し合いをするようお願いたします。
購入し住まう前にも、地域の方への気遣いなども忘れないようお願いいたします。
長文、乱文のところ最後まで読んでいただきありがとうございます。

空き家バンクを利用したい方はこちらをお読みください。

空き家バンクに物件を登録した方はこちらをお読みください。

移住者の声 空き家バンクで家を買う

梁に貼ってあったシール 遊星少年パピィというそうです(笑)

 

追伸 いまは更新していないのですが、家を買って引越直前まで妻がYouTube上げていました。
よかったらみてみてください。

チャンネル→ 漁村の古民家への移住

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