田舎ならではの職業を体験できる地域留学プロジェクト(地域インターンシップ)。
11月28日に、第三弾となる「燻製づくり」体験プログラムが実施されました。
今回の舞台は、尾鷲市街地から車で約20分程の場所にある、尾鷲市三木浦町。
賀田湾の小さな入江にあるこの集落では、釣りや海水浴、ダイビングなどのマリンアクティビティを楽しむ観光客で賑わいます。
インターンシップを受入れてくれたのは、この地で地魚の燻製屋(マルスイ海産)を営む三鬼 博樹さんです。
果たして、どのような体験プログラムになったのでしょうか。
体験後、参加者へのインタビューを記事にまとめました。
燻製づくりや、田舎の仕事に興味がある方、地域留学プロジェクトに興味がある方は、ぜひ読み進めてみてくださいね。
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【参加者情報】
参加者:青木 卓美さん(39歳)
三重県いなべ市在住。今まで地元の小中学校で講師として働き、プライベートでも子供たちと触れ合う様々なボランティア活動を行なっています。何よりも「元気・笑顔」をモットーにしているのだとか。
「燻製づくり」体験終了後、青木さんに、色々とお話を伺ってみました。
●インターンシップに参加された理由やきっかけを教えてください。
尾鷲のような、海と山に囲まれた自然環境にずっと憧れていました。
知人の紹介で、尾鷲市や紀北町を訪れた際、初めて見た銚子川に感動したんです。「こんな綺麗なところがあるんだ!」って。それから毎年のように足を運んでいました。
「自然豊かな場所でスローライフを送りたい」という想いはあります。その一方で、「いつかは、いつかは」と、田舎への移住を先送りしていることへの不安もありました。
ある日、三重県内の田舎暮らしについて調べていたところ、今回の地域留学の参加者募集のことを知りました。偶然にも尾鷲で、田舎の仕事や暮らし体験ができると聞き「これは行くしかない!」と参加を決意しました。思いたったらすぐ行動、ですね。
●どのような仕事を体験されましたか。
地魚の燻製づくりの一連の流れを体験しました。
材料の魚(サバ)を捌くところからはじめて、余分な部位を切り落とし、形を整えます。
これを特製のダシにつけて、煮出していく。
数十分ほど煮て味付けが出来たら、丁寧に取り出して並べます。
金網ごと燻製機に入れて、いよいよ燻製にかけます。
途中、燻製の状態を見ながら数十分燻して、完成です。
出来上がった燻製を真空パックに包装する過程も見学しました。
●実際に仕事体験された感想を教えてください。
魚捌きは今回が初挑戦でしたが、実際にやってみると、全く手本の通りにいかない。自分で作ることの難しさを痛感しましたね。
私が切った魚は身が細くなってしまい、結局、売り物にはなりませんでした。自分で食べる分にはそれでもいいのかもしれませんが、商品化するならば話は別です。
プロの手際の良さには本当に感動しました。
今回の体験では、(三鬼)博樹さんにとても丁寧にご指導頂きました。
見学だけでなく、実際に燻製づくりを体験できて、指導まで受けられる機会なんて滅多にありません。このような場を与えてくれたことが嬉しかったですね。
●(今回の体験プログラムで)将来の働き方のイメージが掴めましたか。
今回の地域留学を通じて、”跡継ぎ”の重要性を感じました。
地方・田舎という地域柄、ご年配の方が奮闘されている現状があり、いずれは若手の力が必要になってくる。跡継ぎや継業という考え方は、地域を手助けできる方法の一つではないでしょうか。
一人前になるまでに何年かかるかわかりませんが、これからの働き方は、仕事内容の良し悪し、好き嫌いではなく、地域の手助けができることを、自分の仕事にしてみたいですね。
●尾鷲の暮らし体験も含め、今回のプログラム全体の感想を教えてください。
おわせ暮らしサポートセンターさんの心遣いが有り難かったです。
第一印象で「ようこそ尾鷲に!」という姿勢が見えて、まず安心できました。他にも、宿泊場所や仕事の悩みなど、何でも相談できる・サポートしてもらえる体制があり、安心してこの2日間を過ごせるな、と感じました。
外部の参加者は私1人と聞き少々緊張していましたが、尾鷲市の地域おこし協力隊OB・OGの方や、市職員の方にも駆けつけていただき、和気あいあいとした雰囲気の中で燻製づくり体験が出来たことも良かったです。
あと、親切にも道案内をしてくれたご近所の方と意気投合しまして。「夕飯食べにおいでよ」と、娘さんのお誕生日会に呼んでいただきました。
これが尾鷲の人の良さ、地元の人の心遣いなのかなあ。普段は感じられないことですよね。都会でなくてもなかなかありません。地域を選ぶことですよね。
滞在前よりも、むしろ滞在後の方がわくわくして楽しいし、また来たくなる。尾鷲ってそんな町なんですね。
宿泊先の漁村暮らしの宿「三木浦ソワイ」も、昭和の家という雰囲気で落ち着きましたし、壁も左官屋さんがやったんじゃないかと思うほどの出来。こういうところに、携わった方の想いが感じられます。
ぶらぶら歩いて散歩して、写真をとって、人との触れ合いを楽しんで、ゆったり過ごせました。
三木浦の暮らし体験も満喫できて、とても良かったです。
欲を言えば、半日ではなくもっと体験したかった。仕事だけでなく、暮らし体験も色々なプログラムを用意してもらえたら、とても視野が広がりますし、もっとやりたいこと、体験したいことが見つかるかもしれないですね。
尾鷲で暮らしたい・尾鷲で仕事をしてみたいという方は、より参加しやすくなるかと思います。
ありがとうございました。
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尾鷲の協力隊OB・OGも参加した、今回の燻製づくり体験。
意図せず賑やかな雰囲気になりましたが、それが逆に安心できたと話してくれた青木さん。受け入れを行う私たちも、嬉しい驚きでした。
三鬼さんは「継いでくれる人がいるなら、いずれ店を譲ってもいいよ」と、引き続き跡継ぎを募集するそうです。
けれども、すぐに”跡継ぎ・継業”にこだわる必要はないのだそう。
燻製屋を継ぐのが不安であれば、初めは弟子入りして修行してみるのもいい。他の仕事と兼任でやってみたり、複業の一つとして考えてみるのもいい。三鬼さんと共同で、燻製屋を盛り上げて行く道もあるかもしれない。
「ピンとくるものがあれば、やってみたらいいよ」と三鬼さん。
田舎ならではのワークライフ実現の方法は、一つではないのかもしれません。
青木さんは、体験後も、移住体験住宅みやかに滞在しながら、仕事や住まいを探されるそうです。
今回の燻製づくり体験が、尾鷲への移住や、新しい働き方につながりますように。
※過去の参加者募集記事はこちら。
新鮮な地魚と、燻製の香りに魅かれて – マルスイ海産
(文/写真:谷津健太)
1 thought on “地域留学プロジェクト「マルスイ海産(燻製づくり)」参加者インタビュー”
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