2016年7月21日

すべては尾鷲のために - 株式会社熊野古道おわせ

尾鷲の活性化を担う集客交流施設、「夢古道おわせ」を運営する同社。
温浴施設とランチバイキングを核に、地域の顔としてサービスを提供し、尾鷲市内外の多くの人々に尾鷲の魅力を発信し、提供し続けている。

日々尾鷲を想い、アクションを絶やさない、夢古道おわせ支配人・伊東将志さんにお話を伺いました。

 

【お話を伺った方】

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株式会社熊野古道おわせ 夢古道おわせ支配人
伊東 将志様

-まずは貴社の概要について教えてください。

 当社は創立が平成18年で、「夢古道おわせ」をオープンしたのは平成19年の4月でした。

元々、夢古道おわせが何のために設立されたかと言うと、尾鷲を通っている熊野古道が12年前に世界遺産として登録され、それを機に、行政などでは「尾鷲は観光でもやって行けるのでは?」という話になったんですね。

そこで、三重県から、熊野古道の歴史など情報を発信する施設「熊野古道センター」設立の話が浮上しました。しかし、我々は「外貨を稼ぐ為の集客交流が、尾鷲には重要かつ必要だ」という事で、私が元在籍していた、尾鷲商工会議所内では議論になったんです。

 熊野古道センターの計画内容は、どちらかと言えば学術的な施設になるものだったので、やはり我々としては、集客交流施設として外貨を稼げるものが別に欲しかったんです。そして商工会議所と尾鷲市で議論をしていく中で、「じゃあ尾鷲市で作ろう」という話になり、現在の夢古道おわせの建設話が浮上しました。

しかし、尾鷲市には集客交流の為の十分な人口があるとは言えず、地元からの評判も厳しいものがあり、リスクを負って進出しようとする人がなかなか出ない状況でした。

ですが、やはり集客交流は尾鷲の活性化には欠かせないという結論は変わらず、商工会議所等での議論の場では、いよいよ「では、ここの皆で作ってしまおう」という事になったんですよ。

 元々、商工会議所は皆さんの意見や要望を聞いて、それをまとめて市役所等に提出するような業務を行う団体でしたが、それを機に、ついに自分達で事業をすることになったんです。そんな全国的に見ても珍しい形を取ったほど、我々は尾鷲の未来に対する不安感がありました。これが今から11~12年前の話ですね。

そんな形で、当社は会議の中から生まれたという珍しい会社です。当時は指定管理者制度なども無かったので、運営方法についても様々に議論して今の形になりました。

そして、「すべては地域のために」というミッションで会社を設立するとして、出資頂ける株主を募ったんです。尾鷲商工会議所の会員企業の方々にお声を掛け、志のある方々から出資を頂きました。

 しかし、商工会議所が主導となって、市役所と計画をして…と進んできましたが、「じゃあ、実際に運営するのは誰だ」という話も出てきました。それからの紆余曲折の流れで、私が商工会議所から当社に出向させていただきました。

当社の目的は「すべては地域のために、元気ある尾鷲を作るために」というものです。この施設を通じて、尾鷲の未来を作れるような運営をして行かなければならないと、いつも思っています。

-主な業務内容について教えてください。

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物販施設の商品棚には、尾鷲や熊野古道の製品がたくさん並ぶ



 「夢古道おわせ」は、大きく分けて3つのセクションに分かれています。「お母ちゃんのランチバイキング」、物販施設、そしてお風呂の3つです。

事業形態としては、直接雇用のスタッフと、ランチバイキングで料理を作っているお母ちゃん達、ビジネスパートナーがテナントとして契約しています。

この施設で最初からあった魅力として、尾鷲のお母ちゃんが食事を提供するランチバイキングは、地元のお母さん達と良い関係を保ちつつ、集客は我々が行い、お客様のおもてなしは彼女らがやるという仕組みです。日本では、今でこそスローフードとか、地域の農山漁村の人達によるレストランが増えてきましたが、開業の当時は珍しいものでした。

「せっかく尾鷲に来てもらうんだから、尾鷲ならではの物を出したい」という想いが我々の中にあって、それは何かと突き詰めると、それは「尾鷲のお母ちゃんが作る料理」なんじゃないかと。それを商品にしよう、と言う事で始めたのが、このランチバイキングです。

 物販では、尾鷲の製品や、尾鷲の人が作っているもの、素材そのものが尾鷲のものであったり、熊野古道関連のものである等、取扱品のルールを決めて、アンテナショップのような形で販売をしているものです。これはスタッフ直営、で販売管理や接客を行っています。

尾鷲市は野菜の収穫高が少ないのですが、夢古道のあるここ向井地区は、地元では「良い野菜が獲れる地」として知られているので、向井の野菜と言うと尾鷲の人は喜ぶし、向井の漬物と言えば美味しい、というブランドがあるんですよ。

でも、生産者の皆さんも歳を取って、農作業や出荷作業も一苦労になってきているので、うちのスタッフが朝、車で畑まで集配に伺い、野菜を集めてきて夢古道で販売をしているんです。

 そして、お風呂ですが、これには海洋深層水を使っていて、紀伊半島ではここしかないんですよ。尾鷲市が行っている海洋深層水の活用事業の顔として、たくさんの人に海洋深層水を使ってもらって、PRするのが我々の仕事だとも思っています。

 以上の3つが夢古道おわせの主な業務であり、スタッフの皆が担当していることです。

-貴社の今後の展望について教えてください。

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「100のありがとう風呂」



 僕は、この施設の運営は「第二ステップ」に来ていると思っています。

 第一ステップについて、元々、夢古道をやるべき理由は熊野古道以外にも一つありました。それは、尾鷲北ICが開通したことです。僕は18歳で免許を取りましたが、その当時、一番近いICは勢和多気。尾鷲からは一時間半もかかっていました。

以前から、勢和多気から尾鷲方面に高速道路が伸びる話にはなっていましたが、紆余曲折あり、建設には時間がかかっていました。しかし、東日本大震災を機に建設のスピードが上がって、2012年に尾鷲北ICが開通しました。

今の所、紀勢自動車道は尾鷲北ICが終点なので、みんな尾鷲で降りる状況です。しかし、尾鷲まで高速が伸びても、尾鷲そのものが魅力のない街だったら、何の意味もない。だから、夢古道おわせで、「尾鷲に行ったら、夢古道に行こう」という施設づくりをするのが、第一ステップだったと考えています。今までは、そう言われる為に、集客やPRに力を注いできました。尾鷲にICが出来る前に、そういう施設づくりを出来るかどうか、という事ですね。

 そして、第二ステップが今後の展望なのですが、尾鷲北ICは今後、熊野尾鷲道路の尾鷲南ICと繋がってしまいます。これは早ければ、開通まで5年を切るんじゃないか、とも言われています。

両ICが結ばれたら、そもそも「尾鷲に降りる理由」が必要になってきます。今までの僕のミッションは、「開業からの10年間で、夢古道をよそからも目指してもらえる目的地にすること」が第一ステップでした。

しかし、次は尾鷲自体が通過点にならないために、高速が繋がっても「わざわざ尾鷲で降りる価値」を提供できる店にしなければいけないので、夢古道のブランドアップに今後は取り組まなければと思っています。

 近い将来で言うと、数年後の両ICが繋がるまでの間に、お店のブランド作りを一生懸命やろうと思っていて、そのために必要なのは、「尾鷲の人だけが知っている店」じゃなくて、全国に名を轟かせる活躍、もしくは情報発信力を持つ事だと思っています。

これまで色々と手掛けてきた「100のありがとう風呂」―お風呂にひのきを浮かべる企画を、日本全国でやってもらっていますが、取引先は今では430件くらいあります。47都道府県全部で導入頂いた実績ができましたし、去年はグッドデザイン賞も取っています。

そういった活動を通じて「夢古道おわせ」の名を知られることで、「尾鷲という名を聞いただけで、ヒノキと夢古道が浮かんでくる」ような事業展開をしなければいけません。施設としては、待つことより、そうやって「外に出て攻める仕事」に注力していきたいと思います。

-今後の採用に関して、「求める人材」はどのような人でしょうか。

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尾鷲のお母さん達が地のモノを提供する「お母ちゃんのランチバイキング」



 正直、今は人手不足です。今でも欲しい、猫の手も借りたいと思っています。特に、うちは主婦が多く、自分の働ける時間・働ける日で働いてもらっているのですが、お店としては、やはり休日にお客様を迎えなきゃいけないので、土日祝、特に連休は忙しいですね。

お客様を迎えるのが好きな人とか、尾鷲の良さを外に発信して行くのが好きな人は、ぜひ仲間に欲しいです。うちは営業時間が長いので、朝から晩まで勤務時間も長い。だから、シフトも3つ4つとパターンがありますが、いつも人が少し足りないくらいで回している状況です。なのでパートを含めたスタッフは常時欲しいですね。

例えば、移住してきた方の奥さんとかでも、ぜひ働いて欲しいなと思いますし、実際にそういう人もいます。

 ここに来た人で、その魅力を新たなお客さんに伝えてもらえるような人がいいですね。「自分が夢古道が好きで、ここに働きに来たんだ」なんて話をしてもらえたらベスト。「給料だけもらえたら良い」って人じゃなく、ここを愛してしまった人と一緒に働きたいですね。愛着があれば、スキルは問いません。

-最後に、貴社で働く上でのアピールポイントは何でしょうか。

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施設外観 夕暮れに尾鷲湾と天狗倉山を望む



 僕達は、地域のために、地域のことを応援しつつ、その魅力を世に出していく仕事を行っているので、そういった意味では「まちづくり会社」だと思っています。

全国的にも珍しい形で立ち上がって、10年経った会社でもあるので、それなりに業界では知られることになりました。

 目指すところは志が高いというか、全ては地域のために、元気な尾鷲を作るためだから、人口減少や高齢化の進行という大きな敵を前にやっているようなものですが、「町のためになることをしたい」と思っている人だったら、うちの店はピッタリかもしれません。

それに、いくつかのノウハウも蓄積されていると思ってるので、「自分の活動エリアを持っていて、まちづくりを学びたい」と思う人にも良いと思います。

良い成功事例を一緒に作って、世の中に共有できるような仕事に興味があれば、ぜひ夢古道に来てもらえたらと思います。

【会社概要】

社名 株式会社熊野古道おわせ
創立 平成18年4月3日
代表者 代表取締役社長 土井 八郎兵衛
所在地 〒519-3625 三重県尾鷲市向井12-4
電話番号 TEL.0597-22-1124 FAX.0597-22-1124
取引金融機関 紀北信用金庫本店・中京銀行尾鷲支店・第三銀行尾鷲支店・百五銀行尾鷲支店
夢古道おわせウェブサイト http://yumekodo.jp/

 

※掲載の情報は2016年8月時点のものです。