2016年7月28日

鉄工所をリノベーションした、こだわりの空間 - Cafe Scale

市街地を流れ、尾鷲港に注ぐ小さな川・北川。
その北川沿いに、市外からも注目を集めるお洒落なカフェがあります。
名前は「Cafe Scale(カフェ・スケール)」。

こだわりを元に人を惹きつける店作りを進める、店主・濱野恭行さんにお話を伺いました。

 

【お話を伺った方】

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Cafe Scale 濱野 恭行様

-まずはお店の沿革について教えてください。

鉄工所の趣を生かした店内

鉄工所の趣を生かした店内



 お店の設立は2002年の2月です。来年の2月で開業から15周年を迎えます。

元々、このお店は両親が立ち上げようと決めたものですが、設立当時、僕はまだ学生でした。両親は以前から鉄工会社を経営していたのですが、2000年頃から不況のあおりを受けて会社をたたむ準備をしていました。

そこで、「改めて何か、お店をしよう」という事になって、飲食店をやる案が浮かんだ事がきっかけと聞いています。当初は両親二人でやる予定だったのですが、その後、僕が尾鷲にUターンすることになり、一緒に喫茶店運営をすることになりました。

このお店は、かつての鉄工所をカフェに改装したものです。開業当初は純喫茶の形態でしたが、僕も両親もプロの料理人としての経験は無かったので、その中でも出来る業態を探して、喫茶店の開業に行きつきました。正直、安易な考えではありました(笑)。飲食店全体で廃業率が高いと言うのも知らなかったくらいなので。

-普段の仕事内容について教えてください。

 さっきの話の続きですが、喫茶店の開業を準備している時、お店をオープンすると公表もしていない時点で、コーヒー会社の営業の方が来て、仕入等の話をしてくれたんです。

今では、それが非常に助かったなと感じています。コーヒー会社は、商品を卸すだけでなく、喫茶店営業に関するアドバイスもしてくれたので。そのツテもあり、今もその会社から豆を仕入れています。有名な会社さんなので、取り扱う豆の種類は豊富にあります。その中からなるべく違う味わいのものを、一つひとつ試飲をしながらチョイスして仕入れを行っています。

コーヒーミルと多種類の豆

コーヒーミルと多種類の豆



お店の開店当時は、従来のカフェとファストフードの中間的なシアトル系コーヒーが流行していました。ですが、当店では逆に、伝統的なハンドドリップ型のカフェとして営業することを決め、今までやって来ています。なので、ドリップにはこだわりを持っていますね。

最初は純喫茶として開店して、食事の提供はほとんどなく、コーヒーメインの営業でした。ですが、純喫茶だと比較的手が空くので、せっかくだからと食事を提供したりケーキを提供することになりました。

でも、「ただ提供する」のではなく、全て手作りベースにしようと言う事にしています。だから、取引先のコーヒー会社からも食品は仕入れられるのですが、手作りにこだわる為に、そこだけは頑なに仕入れをしませんでした(笑)。

-お店のこだわりや特徴は何でしょうか。

 さっきお話したところ、ハンドドリップや豆のチョイス、手作りの食事を提供することにはこだわりを持ってやっていますが、あとはお店の雰囲気作りでしょうね。

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このテーブルは父の手作りなんです。古い足で踏む形のミシン台に木の板を張りって、テーブルに改修したんです。父は鉄工所で仕事をしていたので、鉄が扱えますしね。開業当時はこのミシン台テーブルが無く、丸いテーブルだけでやっていたんですけどね。

丸テーブル

丸テーブル



 このお店には、「手作りでお金を掛けずにやろう」としたら、それがむしろ個性になって良いな、というのが多いんです。

お店の角に設けている季節ごとのディスプレイも、母がやっているアートフラワーと、父の鉄の作品を組み合わせて飾っているんですよ。

季節ごとに変わるディスプレイ

季節ごとに変わるディスプレイ



テーブル等に置いてある小物もお店の雰囲気に合うように、アンティーク物を主に集めています。

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統一感ある小物類は、西洋アンティークを中心に



 また、当店では雑貨屋も併設しています。主にヨーロッパのアンティーク物などを展示していますが、手作りのお菓子も評判がいいんですよ。普通に飲食店に行くだけだと、どうしても「行った証拠」が手元に残らないので、手軽に持ち帰れる事が重宝されています。

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元々雑貨屋を併設したのは、「カフェと相性が合うから」なんですよ。どちらか好きな人は、一方も好きな人が多いんですよね。雑貨屋目的で来たけど、一杯コーヒーを飲んでいくとか、コーヒーを飲みに来たついでに、ここで雑貨を買っていくとか。

このお店は毎週金曜日の夜、ウクレレクラブの場所として提供しているのですが、そういう事も合わせて、色んな「来店のきっかけ」を作っているんですよ。

その他には、以前やっていたもので、尾鷲高校の美術部と組んで、生徒の作品を週一回の入れ替えで、お店の一角を使って展示する「いっぴんミュゼ」を開催していた事もあります。これは1年9か月くらい継続しました。

開催中、「孫の作品が展示されている」といって祖父母の方が来てくださったり、当時の高校生の方がお客さんとして来てくれることもありました。今は取り組みを終了したのですが、冊子にも記録を残していたりします。こういう面白い取り組みが、カフェとの組み合わせでいくつかあっても良いなと思うんですよ。

 当時から、僕は「尾鷲を変えるには、デザインの力が必要」だと思っていて。美術的な意味でのデザインと言うだけではなく、もっと広い概念としての「デザイン」を知ってもらおうと、出張講座もして、市内の方々に伝えたりしていた事もあります。

そうしてやっていく中には、「将来尾鷲の製品のパッケージデザインに取り組みたい」なんて人も出てきて、そういうご縁も芽生えたりしましたね。

-今後、お店でやっていきたい事はありますか。

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 今、イベントで定期的にやっている事が、先程もお話した、毎週金曜日の夜に開催するウクレレクラブです。うちは場所を提供する形で参加しています。そして、クラブメンバーはウクレレや楽譜を持って来て、ここで練習する。自宅ではなかなか練習できないので、皆で外で集まって演奏するのがコミュニケーションにもなって楽しい、と言います。

このクラブは、尾鷲の出身じゃない人がほとんどなんですよ。結婚して嫁いできた人とか。社会人になってからの友達作りにと入っている人が多いんですよ。

 こういった、夜の時間を活用する取り組みをもう少し広げて、「毎週土曜日は何をやる」とかで場所を提供していきたいですね。その中で来月からやりたいと思っているのは、映画上映のイベントです。月に1~2回でも、映画クラブのようなものを作って、上映イベントをやりたいなと。

地元の人達の間では「尾鷲には娯楽が無い」と言われていますし、「夜に飲み屋しか行くところがない」と言う人も多いんですが、こういう社会人の部活動、文化活動のようなものが夜の時間にあると、「集まりたい」という人も多いので、そのための場所を提供していきたいと思っています。

後は、夜に食事ができたりとか、食事ができる時間を伸ばせたら良いなと思います。現状の3人での運営だと、ちょっと手が足りず厳しいですが。

-最後に、お店のアピールポイントは何でしょうか。

鉄工所を改装した、お店の外観

鉄工所を改装したお店の外観


 お店には、尾鷲に転勤で来る人も多いんですが、また数年後に異動になって尾鷲を離れる時にも、うちに挨拶しに来てくれる人がいるんですよね。そんな人達からは「尾鷲に良いカフェがあって良かった」と言ってもらえるので、すごく嬉しいですね。

カフェ好きな人にとって、移住先にカフェがあるのは大切らしいです。それにスケールが応えられているのは嬉しいです。カフェに限らず、「街に入っていけるコミュニティがあるかどうか」なんだと思いますけどね。

お店を気に入ってもらえるかは好みの問題ですが、ウクレレクラブとかもありますし、市外の方にも気に入ってリピーターにもなってもらっているので、日々の気分転換等で来店してもらえればと思います。昔ながらの喫茶店よりも、オープンな雰囲気にしているので入りやすいと思いますし(笑)。

【店舗情報】

店舗名 Cafe Scale(カフェ・スケール)
所在地 三重県尾鷲市宮ノ上町5-11
営業時間 8:00~20:00(ランチ営業あり)
定休日 水・木曜日
電話番号 0597-22-5258
公式ブログ http://scale158.exblog.jp/

※現在スタッフ採用の計画はありません。

 

※掲載の情報は2016年7月時点のものです。