2016年7月14日

梶賀町 地域おこし協力隊(浅田 克哉さん&中川 美佳子さん)

【プロフィール】

asada
○浅田 克哉
大阪府松原市出身。
大阪市内の企業でデザイン室長として勤務の後、地域おこし協力隊に志願。
平成26年2月より、梶賀町地域おこし協力隊として活動を開始。

 


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○中川 美佳子
三重県津市出身。
東京都内にて大学を卒業後、クレジットカード会社に勤務。
平成28年3月より、梶賀町地域おこし協力隊として活動を開始。


-今行っている業務について教えてください。

中川:私達は、梶賀町の地域おこし協力隊として、二人で街の特産品「あぶり」の販売や、活動拠点となる施設「網元ノ家」のリフォーム・開業準備を行っています。

今は、この夏から網元ノ家をプレオープンできればと考えています。しかし、運営後のオペレーションも考えていかなければならないので、そこを詰めている感じですね。

と言っても、私達の仕事の進め方では、カッチリとスケジュールを決めて「いつまでにこうします」という形にはしていません。

状況を見ながら、お互い得意な部分をやっていこうという感じで。その中で、色んな人に助けてもらいながら業務を進めています。

私はお金に関する交渉や、あぶりの営業用の提案資料作成などをメインにやっている感じですね。

 

浅田:僕の方で今やろうとしているのが、網元ノ家の床をフローリングに張り替えることです。これもまさしくご縁があり、市内の方に助けて頂いたことで、進めることができました。

もう一つ、物産店等であぶりのブースを構える時には、長テーブルを貸してもらえることが多いんですよ。今までは、その長テーブルの上に草などを敷いてあぶりをディスプレイしていたのですが、商品の見え方がどうしても平面にしか出来ないので、インパクト不足を感じていました。

ですが、先日伊勢の物産展に出店したら、立体で斜めになっている台にカゴが付いていて、そこに商品を立体的に展示できる什器を貸してくれたんですよ。

これだと見えがかりが大きく変わるので、それが欲しいなー、と(笑)。さすがに頂くことは出来なかったので、材料を調達して、自分で似たような什器を作っちゃおうと思っています。

-お二人が尾鷲に移住した理由を詳しくお聞かせください。


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浅田:
僕は最初、尾鷲に行くつもりは特にありませんでした。でも、地域おこし協力隊の募集をあちこち見ている中で、尾鷲市は「協力隊に何をして欲しいのか、何の為に人が欲しいのか」を明確にしていて、とても入りやすく感じました。

他の地域の募集であったんですが、「町のために何かしてくれ!」とだけ言われても、何をしたら良いのか分からず、それを探すのに一年くらい経ってしまうでしょうし。

でも、尾鷲だと最初に題材を用意してくれていましたし、特産品の開発やパッケージのデザイン、どうやって売っていくのか、という、「梶賀のあぶり」のトータルプロデュースをさせてもらえるのは魅力で、今までやっていた事も多少生かせるので、尾鷲を選びました。

それに、尾鷲は大阪からも近いですしね。


中川:私は、もともと出身である三重県に戻って仕事ができないか、と思っていました。それで移住フェアに行ったら、尾鷲のブースで定住移住コンシェルジュの木島さん達に会ったんですよ。

「尾鷲には行った事がある」と話をしたら、「地域おこし協力隊の募集があるから」と教わったんです。良い機会だったので、それで尾鷲に行くことを選びました。

私は協力隊になりたくて選んだというより、三重に戻るために尾鷲の協力隊になったという形ですね。

-移住して良かったこと、不満なことはありますか。


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浅田:最初一番不安だったことは、街に溶け込めるのかどうかでしたね。大阪から来た人間に対して、田舎の人がどういう目線でどんな接し方をするのか、やはり不安ではありました。

しかし、来てみたら皆が皆、「自分がおばあちゃん」みたいな感じで接してくれる良い人ばかり。すごくフランクに話してくれて、こちらもドンドン色んなことを言っても大丈夫。普通に冗談も言い合える仲だし、ここに来て良かったと思っています。

他の地域だと、もしかしたらそうはいかないんじゃないかなぁ。

不満なことは、今はそんなに無いですが、やっぱり協力隊の任期が終了する3年後は不安ですね。まぁ、それは最初から分かってたことなんで、その中でやれる事をやって、将来もここに居るなら、居るための土台を作らなきゃいけないなと。

 

中川:良かったことは、協力隊でないと、なかなかこういう環境には来られないですし、街の人にも受け入れてもらえるし、自分も住みやすいし、そうやってなかなか経験できないことが経験できて暮らせるというのは、非常に貴重で楽しいですね。

不満なことは…梶賀に来てから最初の二週間くらいは、お店がまわりに無いなど、全然今までの生活とは変わるので、色んなことをするのに手間がかかって不便だなと思いました。

とは言っても、それ以降は「こういう風に生活を回していけば良いんだな」と分かったので、今はあまり不便はないですけどね。

あと、空き家だった一軒屋を借りているので、ちょくちょく修繕しながら住んでいかなきゃいけません。でも、私は自分じゃ家の修繕はできないので、街の人に頼んで直してもらっています。

それを考えると、家の修繕を自分でできる人か、ちゃんと他の人に頼める人じゃないと、少し厳しい所はあるかも知れません。

 

浅田:確かに、ちゃんと人に言える人じゃないと難しいですね。

あと、キッチリしてる人も難しいかも(笑)。イライラ溜まるんじゃないかなー。キッチリ全部自分でやらなあかんとか、お礼もしっかりせな、とか考えていると、たぶん相手も気を使うし、街の輪の中に入るにはあまり良くないんじゃないかな。

多少砕けている方が輪の中には入りやすいので、移住するにはその方が良いんじゃないかと思います。

 

中川:「梶賀時間」というのがあって、「7時に集合」だったら、7時に始まるという事ではなく、6時半頃から来た人から始めてしまう文化があるので、「キッチリ時間通りにやりたい!」と考える人には向かないかも知れないですね。

 

浅田:そう、小さい街だからこそだと思うんですけど、無駄な人がいないんですよ。言い方に語弊はありますけど…

何というか、都会であれば、サボってるとか、「こいつ何もせぇへんなぁ」とかいうのが、組織の中には一人はいたりします。

後は、「他の人とかぶってる」って人もいたりするんですけど(笑)、こっちだと、そういう人がいない。「その人が欠けると、物事が進まない」というような人しかいないんですよ。

住民が各々何かのプロフェッショナルで、「この人すごいなぁ」という人ばかりですごく刺激的。それは都会とは違うなーと。人が少ないからこそ、自分のやることを認識してしっかりやっていくんだろうと思いますね。

-普段の生活スケジュールはどんな感じでしょうか。


カツオを丁寧にさばく浅田さん

カツオを丁寧にさばく浅田さん


浅田:ずいぶん自由ですよ(笑)。今日も、朝中川さんと一緒に市場で魚を買ってきて、魚をさばいてたら、結局8時半くらいになったんでしたっけ。そこから一時間くらい、二度寝しましたからね(笑)。

その後、起きたらチラシ制作の作業を一時間くらいして、その後は打ち合わせをして…という感じです。本当に、日によってスケジュールは変わりますね。

魚を買ってさばく日は朝6時半に起きたりして、その分日中に休憩したりもします。特に朝予定が無ければ、9時くらいまでゆっくり寝たりもしますし、自由な感じです。

 

中川:今日は私が寝坊して、市場に顔を出せなかったので(笑)。どちらかが寝坊したから代わりに行く、とかはしょっちゅうですね。

一日のスタートは、「起きられる時間に起きる」ところから始まります(笑)。

 

浅田:まぁ、とは言えかなり働いている方だとは思います。休みも関係なく動いているので。好きな事だからドンドンやっちゃうけど、気が付いたら結構疲れがたまっている事はあります。

 

中川:最近、私は丸一日休みを取るよりも、午前中だけ仕事を抜けてダイビングに行かせてもらったりしますね。すぐそこでダイビングができるので。

なので、あまりカッチリしたスケジュールではなく、柔軟なスケジュールでも皆さん対応してくれるので、ありがたいですね。

 

浅田:「半分仕事・半分遊び」みたいな。好きなことをやって、それが街のためになっているという形ですね。

 

中川:あぶりを作ってる途中で、突然釣りに行ったりとか(笑)。

 

浅田:一回だけですけどね(笑)。 そこで釣った魚であぶりを作ったら絶対美味しいだろうなーと思い付いて、スッと海まで行って何匹か釣ってきて。

 

中川:それで普通に何匹も釣れるのがすごい(笑)。

-今の家計についてはどんな感じでしょうか。


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浅田:プロパンなのでガス代は高いですね。

 

中川:確かに。私は毎日お風呂に水を張っているので、月々7,000円くらいはかかります。

 

浅田:僕はシャワーだけなので、大体4,000円くらいですね。大阪の都市ガスとは全然違うなーと思います。

でも、そのかわり水道代はめっちゃ安い。今までいくら使っても、基本料金を超えたことがないんですよ。

あと、食事代は今までの半額以下になりました。魚を安く飽きるほど食べられるのももちろん大きいですが、買物に行けないのが支出を下げてくれるんですよ。

「ちょっと食べに行こうか」というのはできないし、小腹がすいたからお菓子やジュースを買おう、というのもできない。無駄遣いが無くなります。

そこは最初我慢せざるを得ない所ですが、次第に身体もそれを求めなくなってくるんですよね。それだけで、こんなに違うんだなーと。

あと、以前は大阪の堀江に住んでて、服屋が周りにいっぱいあったんですよ。だからよく服は買っていたんですけど、今ではパジャマでも外に出られるし(笑)、「今年に入っていつ服買ったかなー」というくらい買っていないですね。

以前溢れるくらい服を買っていたのに、今となっては案外いらないなと感じますね。無駄遣いがとにかく無くなりました

逆に、植木鉢とか、ホームセンターに費やす料金は増えましたけどね(笑)。まぁ安いものなので、全然ですが。

 

中川:収入は前の仕事に比べたら大きく下がりましたが、支出も大きく下がりました。

今一番お金が掛かるのはダイビング代ですが、食費や交際費も、飲み会があってもここでやるくらいなので、大きく浮いています。毎日美味しいものが食べられて、しかも生活費が安いのは非常に良いですね。

以前はクレジットカード会社勤務だったこともあり、飲み会代を立て替えたりして、月々のカードの支払額が数十万円というのもザラでした。それを考えると、今の家計はシンプルです。

ただ、周りの人のように、ネットで商品を買い出すと歯止めがきかなくなりそうなので、それはセーブしています(笑)。

まぁ、実際に住んでみないと、記事を読んでも「こんな感じで生活できるのか」というのは分からないと思います。

ただ、「収入が減っても生活は全然できるよ」と言いたいです。

 

浅田:こっちで1ヶ月過ごすのと、月に2,3日、大阪に帰って使う金額が同じか、大阪の時の方が多いくらいなので。

 

中川:あ、こっちに来てから車を持つようになったんですが、中古の軽自動車でもこんなに掛かるんだ、という印象はありました。自動車税とか、ガソリン代、駐車場代など、そこは思ったより負担になりますね。

 

浅田:確かに。まぁ、駐車場代も2,000円程度なので、大阪の2~3時間の駐車料金程度ですけどね。

-尾鷲に移住を希望される方に、一言お願いします。


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「梶賀のあぶり」製造現場


浅田:都会で自分の身を削って、限界までヘトヘトになってやっと生きていけるくらいの生活を送るんやったら、「断然こっちに来た方がいいよ」とは本当に思いますね。

好きでもない事を、ただ東京とか都会で生活するためだけに毎日ひたすら大変な思いで頑張っているよりは、田舎でゆったり過ごす選択肢も持った方が良いんちゃうかなと。

皆が皆、田舎暮らしというのは出来る訳じゃないと思うし、越えなきゃいけないハードルもあるとは思うんですけど、それでも個人的には来てよかったなと思うし、逆に人間らしい生活ができるんとちゃうかな。

「仕事が無い」っていうのも、スーツを着てやるような仕事はそんなに無いかも知れないけど、「何でも良いから食べて行ければ」という感じであれば、やっぱり田舎の方が合ってるんちゃうかなーと思います。

 

中川:私は、「地方に移住する」というと、「都会に疲れたから、のんびり暮らす」って文脈になりがちなのが好きではなくて。田舎は今ビジネスの面でも注目を浴びていて、ガッツリ仕事をしたい人にも良いフィールドだと思っています。

「自分で会社を立ち上げて新しい事をしたい」とか、手に技術を持っている人が独り立ちして何かをやる時に、田舎の方が一人で事業をやるのに適したサイズじゃないかなと。

せっかく良い技術を持っているのに、都会で埋もれてしまっているような人がこっちに来ると、PRが色々できたりとか、新しい仕事を地域で始めたりとか、面白いと思うんですよ。

そういう積極的な人にも、のんびりしたい人にも、田舎は合っていると思うので、前向きに尾鷲とかに来てくれたら良いなと思います。

あと、移住する前に必ず下見はした方が良いですね。勝手なイメージや先入観で移住後の生活を描いてしまっているところは、必ずどこかにあるので。

私も浅田くんも、協力隊の募集にあたって実施された事前ツアーで、梶賀に来て街の様子を実際に見られたというのは、とても良かったと思っています。

移住にあたっては、できれば窓口の行政の人との会話だけじゃなく、地元の人と会話するのが良いなと思います。私が事前ツアーに来た時には、梶賀の色んな方々とお話ができて、地元の人が言う梶賀の魅力とか、尾鷲は雨が非常に多く降るのを、「雨がすごく綺麗なんよ」なんて言ってくれたんです。

そうやって自分の言葉で「自分の地域に来て欲しい」と言ってもらえるのがとてもありがたかったので、印象が良くなって移住を決めたこともあります。

ぜひ、事前に地域に入ってもらって、実際に魅力を味わってもらえればと思います。

 

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