地域留学プロジェクト「九鬼定置漁業」参加者インタビュー

【目次】

田舎ならではの職業を体験できる地域留学プロジェクト(地域インターンシップ)。

11月14日から15日の2日間にかけて、「漁業」体験プログラムが実施されました。

舞台となるのは、天然ブリの産地として名高い三重県尾鷲(おわせ)市・九鬼町(くきちょう)。

この地で長年定置網漁を営み、地元では「九鬼大敷(くきおおしき)」の名称で親しまれている九鬼定置漁業株式会社様が受入れを行ってくださいました。

果たして、どのような体験プログラムになったのでしょうか。

体験後、参加者へのインタビューを記事にまとめました。
漁業や田舎の仕事に興味がある方、地域留学プロジェクトに興味がある方は、ぜひ読み進めてみてくださいね。



【参加者情報】

参加者:仲 功児なか こうじさん54歳)

三重県名張市在住。バイク販売や修理業を営まれています。
「第二の人生として、漁師になりたい」と、今回のインターンシップ開始以前から尾鷲へ足を運び、漁師や空き家について情報収集をするほどの熱量をお持ちの方です。

「漁業」体験終了後、仲さんに、色々とお話を伺ってみました。

●インターンシップに参加された理由やきっかけを教えてください。

仲さん:数年前から、第二の人生として漁師になりたいと考えていました。
今は手放しましたけど、以前はプレジャーボートを所有していて、週に一度クルージングするほど海が好きで。海の近くで暮らしたい、でも暮らしていくための仕事がない。それなら、憧れていた漁師を目指してみようと考えました。

知人の紹介で尾鷲を訪れた際に、この「地域留学プロジェクト」を紹介され、九鬼町で漁師体験ができると聞いて、参加してみたんです。

●どのような仕事を体験されましたか。

仲さん:九鬼大敷漁師さんの「1日の仕事の流れ」を体験させてもらいました。
スケジュールとしては、朝5時に漁港に集合し、6時に出港。それから漁場へ移動し、定置網漁や魚の水揚げを行い、帰港後に魚の選別(仕分け)作業をして、10時ごろに終了となります。これを2日間に渡って行いました。

船上では危険を伴うので見学がメインとなりましたが、陸では魚の選別作業を、実際に体験しました。

ー魚の選別(仕分け)とは、具体的にはどのような作業なのでしょうか。

仲さん:定置網で水揚げしたものを、魚種や大きさごとに分けていくんです。サバ、アジ、カンパチ、アオリイカなど様々な魚が獲れました。初めて目にする珍しい魚もいましたね。

未経験の自分からすれば大漁という感覚ですが、おそらく地元の漁師さんからすれば少ないのでしょうね。


ー船上での漁師さんの動きや様子、雰囲気は、どのように感じましたか。

仲さん:漁師さんには、それぞれ役割分担が決まっており、船長さんとは別に、ベテランの親方のような方が指示を出していました。意外にも、シャイでやさしい人が多いんですね。現場では怒号が飛び交うイメージがありましたので、驚きました。

あと、とにかく漁船のエンジン音が大きい。漁師同士、何らかのコミュニケーションを取られていたようですが、漁師さん方の話は一切聞き取れない状態。エンジンが止まるまでは、なかなか会話も出来ません。

定置網のところについてからが本番、といったところですね。

 

 

ー漁場や魚の水揚げの様子を教えてください。

漁場では、2隻の漁船が連携して魚を追い込んでいきます。片一方の船が網を引き上げていって、自然と船同士の距離が狭まっていくようなイメージですね。追い込まれた魚を、最終的に大きなタモをクレーンですくい上げて水揚げします。

水揚げ後も、漁師さん方は忙しそうに作業されていました。カンパチなど高価な魚は、別の水槽に生かして放り込み、それ以外の魚は一緒の水槽に入れる。漁港についてから、それらの魚を選別していく、という流れですね。

仕分けをしたら、その日の業務は終了です。


●実際に仕事体験された感想を教えてください。

仲さん:自分が見て体験した範囲での感想ですが、漁師という仕事に対して手応えを感じました。「今後、自分なりにやっていけそうだな」と。


ーどのような部分に「手応え」を感じたのですか。

「時間と扱う相手(対象)」でしょうか。
現職は、土方(どかた)仕事をしながら営業マンも兼任するようなイメージなんです。毎日1012時間の業務で拘束も多く、店ではお客さん相手に接客や顧客対応と、修理業の現場作業と、とにかく忙しい。

漁師の仕事を体験してみて、これが毎日の仕事になったら、実際はもっとしんどいと思います。
けれども、拘束時間は少ないし、それぞれの役割分担も決まっていて、自分の作業に集中できる。全て自分でこなさなければならない訳ではないんですね。

一つの作業や役割に集中できる環境は、とても魅力に感じました。

●(今回の体験プログラムで)将来の働き方のイメージが掴めましたか。

仲さん:とりあえず、漠然とはしていますが足掛かりは掴めました。
まずは、どんな環境で漁師をやりたいのか。大敷網の様な大人数の組織の中でやるのか、4~5人くらいの規模の組織でやるのか、それとも一人親方の所に弟子入りして跡を取るのか、考える必要があります。
かといって、いきなり漁師に就業したり、自主的に漁師を始めるのは難しいので、アルバイトや手伝いなどで経験を積んでいくことも考えています。

どうやっていくのかは、今後の課題ですね。


●尾鷲の暮らし体験も含め、今回のプログラム全体の感想を教えてください。

仲さん:有意義な時間を過ごせたと思います。
普段では、こんなフリーな時間はなかなか持てません。朝は早いけれど、昼間のうちに仕事が終わるし、お日様が昇っている時間に入るお風呂なんて最高です。笑

宿泊先の移住体験住宅「みやか」も、(移住をしたら)実際に自分が住むかもしれない様な雰囲気の施設で、そこに滞在させてもらえたのも良かった。

まるで毎日旅行をしているかような気分を味わえました。

本音を言えば、もっと滞在してしっかりと漁師体験をしたかったですし、色々な漁師の働き方を知りたかったですね。時間が取れる人なら、1週間などの長期間のプログラムがあっても良いのではないでしょうか。

とはいえ、状況は人それぞれでしょうし、忙しい人でも2日間で漁師体験できる機会は大変貴重でした。

ありがとうございました。



インタビュー後。

地元の漁師さんとのお話で、尾鷲では農作物がサルやシカなどに食べられる獣害被害が深刻化していると聞いた仲さん。

「実は狩猟免許を持っているんです。漁師と猟師、両方を目指すのもいいかもしれません」

”W(ダブル)りょうし”という、新たな働き方のイメージを掴んだご様子が、印象的でした。

 

今回の漁業体験が、尾鷲への移住や、新しい働き方につながりますように。

 

※過去の参加者募集記事はこちら。
大漁旗を、みんなで掲げる喜び – 九鬼定置漁業㈱

 

(文/写真:谷津健太)